NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』


阿野全成




とうとう出番を終えてしまいました。。


今はただ猛烈に淋しいです。


7回で「風を起こす!」といって陰陽を唱えたものの風を起こせず、日本中のお茶の間をズッコケさせた登場をした全成。

兄頼朝の挙兵を聞きつけ、誰よりも早く兄のもとに駆けつけた彼は、実衣という女性に出会ってしまいます。

ただ実衣を愛し続け、穏やかに鎌倉でひっそりと暮らしたい。全成はそんな風に考えていたのではないかと思います。

そして、最期まで妻実衣を愛し、最終的には陰陽で風だけではなく嵐を巻き起こして亡くなっていきました。。

こんな壮大な前フリで、こんな素敵なラストを迎えるとは思ってもいませんでした。

本当に、本当に素敵な役を戴いたと感謝しています。







「悪禅師」という名を持つ全成を演じるにあたって、クランクイン前のメイク打ち合わせの段階では「付け髭」の提案をしてみたりしました。

男っぽい硬派な印象が良いのかな?と思って提案したのですが、返ってきた答えは「逆にアイラインも入れて少しマスカラもしてもらいたい」という驚愕の言葉でした。これは武士たちが多く出る作品の中で、妖艶で不思議な存在として他とは違えたいという制作側からの意向でした。

こうやって三谷さんの台本はもちろん、各セクションの方々が一生懸命に考え、生み出した今回の全成像だったのです。

撮影が進むにつれ、共演者の方々やスタッフさんたちの雰囲気の中で自然と全成のキャラクターは確立されていきました。

僕一人が創ったのではなく皆さんの力で生まれた今回の阿野全成です。本当に素敵な全成を演らせてもらえて嬉しいです。





気付けばコメディリリーフと呼ばれることも。

風を起こせない全成は、恋に不器用で、実衣ちゃんへの告白もままならない。

いつも穏やかで物事を客観視している。

女子会に普通に参加している。源氏というよりは北条の婿として生活してる。

占いは半分しか当たらない。

妻の実衣とハモり、文覚との読経セッションもこなした。

頼朝のモノマネをして窮地を救ったことあれば、義高や紫式部までもが憑依した芝居をしたことも。

井戸に落ちた甥の頼家を助けようとまずお経を読んでしまう。


そんな全成が生まれたのは、三谷幸喜さん、共演者、スタッフ、そして視聴者の皆様のおかげです。

ラストシーンはこの「鎌倉殿の13人」における全成らしい終わり方をさせていただいたと思っています。

ラストシーンの撮影時は、呼吸することも困難で、心拍数も異常に上がり、涙が止まらないほど入魂していました。

もしかしたら全成さんが憑依していたのかもしれませんww

天国の全成さんがこのラストを気に入ってくれていると良いなぁ。


















およそ半分の24話に出演させていただき、ありがたいことに多くの方々に愛していただいた全成。

「全成さんですよね?」と街中で話しかけてくださる人は皆さん含み笑いでしたww

こんな悪禅師が予想できたでしょうか?

これこそ愛されている証なのだと感謝しています。

たくさんの応援、本当に本当にありがとうございました。



歴史上ではあまり知られていなかった阿野全成。


この『鎌倉殿の13人』で新納慎也が演じた阿野全成をどうか皆様忘れずにいてくださいね。



最後に


天国の阿野全成さま。

心を込めてあなたを演じました。

大好きです。

ありがとうございました。




新納慎也